スーパーの棚に並んでいるお菓子。以前の価格を覚えている。だいたいどれもゆうに2割は値上がりしている。
秋。スーパーにはサンマが並んでいる。
でも覚えている。上の子が赤ちゃんの頃、2000年代、今よりもずっと太って安くて新鮮なさんまがたくさん売られていた。
サイゼリヤのピザが小さすぎて、何度注文してもびっくりする。
学生の頃、20代の頃、別に世の中がこれから良くなるとも思わなかったけれど、うっすらと残っているあの頃の記憶を思い出すと、今よりもいろいろと気前が良く豊かだったような気がする。
私は、世代的にはロスジェネに当たる。けれど、幸運にも学生の頃あまりそういう悲哀を感じたことがない。
周りの男性の先輩の就職先は名だたるところばかりだった。
有名都市銀行、第一種国家公務員、テレビ局、ラジオ局、などなど。
男性の先輩方の発言で、今も鮮明に覚えていることがある。
1つは、2つ上の学年の先輩の発言。
誰かがその先輩に、合コンだかなんだかで知り合った別の女子大学の女性とその後どうなったか、みたいなことを聞いていた。なぜかその会話を私も聞いていたのだが、先輩は「え、だってあの子、頭悪いよ。」と言った。
その女子大学は自分が通っている大学より偏差値が低い、つまり自分より頭が悪いから付き合うことなどはない。ということを言いたかったのだと思う。
最近も犯人がそんな発言をした性犯罪があった気がする。先輩が無邪気に発した発言が端的に示した差別思想は、当時の母校の大学のマイナーな考えではなかった、と思っている。
もう一つは、卒業したOBの先輩が、サークルで放った発言。
その先輩は大手テレビ局に就職していた。そして後輩たちの前で近況を話してくれた。
「自分は◯◯テレビに入社して2年目です。今給料は◯◯円もらってます。」
〇〇円のところの金額は全く覚えていないのだが、入社2年目としては破格に高い金額だったのだと思う。
まあ要するに自慢なのだが、〇〇テレビという超人気優良企業に入った自分は、給料が破格に高いのでむしろ金額を公表するとみんな面白くなってしまうのである。
という一応ジョークだったような気がする。面白くもなんともないのだが。
テレビを見なくなってどれくらいになるだろうか。消滅の危機にある超大手芸能事務所のニュースが目に入ると、あの先輩のことを思い出す。
そして自分である。そういう発言を聞いて、何も言わなかった。何も思わなかった。ただ、今も思い出すだけである。
あれから20年以上経った。
私も、世の中が悪くなることに加担したと思っている。
