少し前にマエマコさんと認知症予防のオンラインイベントをやって以来、空前の認知症予防ブームが自分の中で巻き起こっている。
共同開催者であり、このイベントの講師でもあったマエマコさんに本を紹介などしてもらって、色々読み込んでいくうちに、この本に行き着いた。
ハイリスク遺伝子の由来を聞いて、人生を考えた
この本は、アルツハイマー型認知症の新しい治療法としてリコード法と呼ばれる治療法を提唱している。
リコード法とは、アルツハイマー型認知症には36個の原因があり、それらの原因を血液検査などで全て検査して、その人特有の原因を突き止め、その人にカスタマイズした食事やサプリメントなどを提案していくという治療法(たぶん)。
一般書とは言えかなり細かく病気の仕組みを説明しているので、かなり読み応えがあるのだが、私が大変納得したところはふたつ。
ひとつは、アルツハイマー型認知症は、脳の縮小プログラムだという話。
アルツハイマー型認知症にかかっている脳がしていることは、歳を取って広大な脳のネットワークを維持できなくなった時、生き残るために必要な機能だけを残し、必要ない記憶の形成にエネルギーや資源を費やさない、ということ。
認知症は、古い記憶は覚えているけれど、今言ったこととか、新しいことは覚えられないんだけれど、なるほどこれは限られた脳の資源をどこに使うかという、脳の生存戦略なのだ。
もうひとつの納得したことは、ApoE4遺伝子の話。
ApoE4遺伝子をひとつ持つ人は、ひとつも持たない人よりも3〜4倍アルツハイマー型認知症になるリスクがある。私はまさにApoE4遺伝子をひとつ持っていることが検査をして分かっていて、認知症が他人事とは思えなくて、認知症という病気に強い興味を持っている。
で、今までなんで認知症になりやすい遺伝子なんてあるんだろうとずっと思っていた。きっと遺伝子の異常とか弱い遺伝子なのかななんて思っていた。
でもこの本によると、人類は何百万年もの間ApoE遺伝子の中ではApoE4という種類しか持っていなかったとのことなのだ。
ApoE4遺伝子は、炎症反応を亢進させる働きがあるのだそうだ。
これは、私達の遠い祖先にとっては有利なことだった。私達の祖先は、汚いものを踏んづけても、病原菌たっぷりの生肉を食べても、免疫システムが反応して炎症を起こすことができるからだ。しかし歳を取るにつれて炎症は、体に様々な病気を引き起こす。アルツハイマー病もそのひとつだ。
ApoE4遺伝子は、人類に農耕が始まる以前の何百万年もの間、低炭水化物食・狩猟生活に適した遺伝子だったのだ。そして、やっと22万年前にApoE3遺伝子が、さらに8万年前にApoE2遺伝子が出現した。
なるほどなるほど。私は大変納得したのです。
この世界は、少なくとも日本のような戦争のない国では、食べ物があふれ、中世の西洋とかから見ればみんなが貴族のような生活をしている。
でもそんな豊かな世界はここ100年くらいの話で、人類は何十万年も狩猟生活、低炭水化物生活で、食うや食わずの生活をしてきた。
いくら目の前の生活が豊かになっても、私達の体はその生活に追いついていない。体はまだ質素な生活に適応していて、現代の生活では体のいろいろな臓器に負荷がかかる。
特に、私は原始人の遺伝子ApoE4を持っている。
なるほど、私には現代の生活はぜいたくなんだな。
すごく納得した。
白米も、パンも、クッキーも、ジュースも全部、必要なかったんだ。
理想の生活に一歩近づく
ここまで理解できると、今までどうやってもやめられなかったパンや甘いお菓子をすっかり食べる気がなくなった。
いや、なくなったわけではないけれど、どうしてもつい買ってしまったカントリーマアムやきのこの山を買う気はなくなった。(まあ年齢が50近くなるとお菓子がほしいという気持ちも落ち着いてくるのかも知れない)
アルツハイマー型認知症になりたくなかったら、原始人みたいな低炭水化物の食生活をしないといけないということについて、心から納得できたからだ。
世界中から食べ物を取り寄せて、いつでもなんでも食べられるように保存して、簡単に食べられるように加工して、びっくりするくらい美味しくなるように甘く甘くする、そんなことは、体には全く必要ない、というかむしろ害になんだ。
自分で食べられるものは自分で作って、手に入る物で極力生活するような、そんな自給自足的生活。
そんな生活が理想だとずっと考えてきたけれど、認知症リスクが普通の人よりも高い私には、やっぱり自給自足を目指すって、合ってたんだな、と納得したのでした。
私は、人間らしく生きたい、人生を生ききりたい、良く生きたい、そのためにはどう生きたらよいのか、ということを常に考えている。
おなかがいっぱいになる美味しいごちそうは、良く生きるためにはむしろいらないものなんだな、ということがよく分かった。
うん。タワマンでも、自給自足。