料理をするのが好きではない。料理がもたらす疲労を想像するだけで疲れてしまう、切って、焼いて、煮て、3品くらいを同時進行で作り、その間ずっと立っていた上に盛り付けるなんて。それを今からあと1時間でやり終えなければならない。やる前からどっと疲れる。その状態を料理嫌い、と言われればそうなのかもしれない。
そもそも食にそんなにこだわりがないのだと思う。しかしだからといって、適当なものでいいかというとそうでもない。コンビニやスーパーのお惣菜は味が濃すぎてあまり食べられない。素材だって無農薬、無添加のものであればそれに越したことはない。
こだわりがないのは、調理法なのだと思う。
もし食べるのが自分だけだったとしたら、野菜と少量の肉か魚を切って蒸すか茹でるかして、米も全部一緒くたにしたものを毎日食べるだろう。火が通っていればそれでよし。
スターウォーズ「フォースの覚醒」のパン
そんな雑な私が、心から離れない食べ物がいくつかある。その1つ目が、スターウォーズの新しいシリーズの第1作目「フォースの覚醒」に出てくるパン。
こちらにちょっと説明があった。
映画の最初のほうのシーン。主人公レイが砂漠で一人で座って、ほんの少しの何かの粉にちょっと水をかける。そうするとその粉がムクムクと大きくなって、手のひらに乗るくらいのパンになる。レイはそれを砂漠の中で美味しくもなさそうにしかめつらでもぐもぐと食べる。
そのシーンが頭から離れない。スターウォーズの世界だもの。これ一個で栄養もバッチリに違いない。レイの表情から察するに美味しくはないのだろうが、ほんの少しの粉と水だけで一食済むのであれば、時間の節約と食料問題が一気に解決ではないか。
中国で見たビニール袋弁当
2つ目の気になる食べ物は、20年以上前大学生の時に中国の路上で見た食事風景でのこと。
上海だったと思う。歩道で座ってお昼を食べていた2人の若い女性。2人がしゃべりながら箸でつついていたのは、ビニール袋にご飯とおかずを入れたもの。当然中でぐちゃぐちゃである。
見たのは中国でもそれっきりだ。あまり行儀が良くないというのはたぶん中国でもそうなのだろう。現在の中国は地方都市でもかなりきれいな街並みになっているので、そんな風景はもはや絶対に見られない。
でも、私はそのビニール袋弁当に強く心惹かれた。「何あれ!めっちゃ合理的じゃん!食器も洗わなくていいし、弁当をビニールに入れるんだったら、直接ビニールに入れちゃえばいいじゃんね!」と。
坂の上の雲の秋山兄弟の食事
3つ目は小説「坂の上の雲」。主人公の秋山兄弟の兄好古の家で、弟真之と食事するシーン。兄はお酒を飲み、弟はご飯を食べる。けれど兄の家にはお茶碗が一つしかなくて、兄がお茶碗でお酒を飲んで、同じお茶碗で弟がご飯を食べる。順番でお茶碗を使うから弟がご飯を食べている間、兄はお酒を飲みたくて「はようはよう」と催促する。
なるほど!お茶碗いっこあればお酒も飲めてご飯も食べられるのね!しかも二人も!
超便利!
本日のメニュー。あったものをぶっかける。
なんでもよいわけでは決してないのだが、でも色々こだわり過ぎるのもどうなのかと。食べられるだけでありがたいじゃないの。とりあえず火が通っていればそれで充分。
金曜日は疲労がピークに達する。そんなハナキンは、家族のみんなも私の雑メニューに付き合っていただきましょう。
そのレシピは…
ひじきと肉じゃががあったから、冷めた米にぶっかけるよ。
午後7時。上の子は塾の自習室に行くとかで帰ってこない。下の子は昼寝から目覚めない。夫はもちろんこんな時間には帰ってこない。…知らんわ。置いとくから、勝手に食べて。
特にツッコミもなく、家族は普通に食べていましたとさ。