ファスティングが流行っているような気がする。実は私もやっている。医者でもないのに、こんな健康法をやるとこうなりますという話は本来したくないのだが、あまりに最近体調が良くなったので、私の16時間断食の体験記をここに記す。あくまで私個人のお話です。
16時間断食を始めた私の理由と、そのやり方
ファスティングを始めたのは、ダイエット目的ではない。そういうオシャンティな目的はJKの娘に譲る。
私の目的は、ただただ、
認知症予防のため。
これしかない。
私は遺伝的に認知症リスク因子を持っているので、とにかく遺伝以外の認知症リスクを減らしたいのである。
で、認知症予防の観点からの断食として、「ケトフレックス12/3(トゥエルブスリー)」という方法を知った。
「ケト」とは。「ケトーシス」のこと。体内のブドウ糖が枯渇すると、肝臓が脂肪を分解してケトン体という物質を出して、ブドウ糖代謝モードから、ケトン体代謝モードに切り替わって、軽いケトーシス状態になるんだって。軽いケトーシス状態が認知機能には最適らしい。
「フレックス」とは。緩やかな菜食主義のこと。肉や魚も食べるけど、添える程度で、野菜中心の食事にする。
そして、12は前の日の最後の食事から翌日の最初の食事まで12時間開けること、つまり断食。3は寝る前3時間は何も食べないこと。
で、私のように認知症リスク因子APOE4遺伝子を持っている人は、12時間よりさらに長く16時間開けると良いということで、16時間断食を始めることにしたのである。
認知症予防のために、16時間断食の他に、さらに小麦除去と、糖質制限もしている。米は1日1膳程度、お菓子はほぼ食べないようにしている。
ただ、食べてよい時間の8時間の間に、どうしても空腹に耐えかねて、ナッツを大量に食べてしまったり(徳用袋を1日で半分とか)、肉や魚もけっこうしっかり食べている。また、お菓子は食べないと言っても、さつまいもやデーツなどはわりと気軽に食べてしまっている。
というわけで、自分なりのやり方になっている面は大いにあるのだが、16時間断食、パンなどの小麦製品は食べない、糖質を控える、概ねこの3点を実行するようになって3ヶ月経った。
最初はつらかったけど
こんな生活をする前の私は、とてもじゃないけど今のような生活をできるような人ではなかった。
つまりは、お菓子大好き、パン大好き、食べること大好き、だったのだ。いや今でもそうなんだけど、以前の私は自分の食の好みに制限をかけずに好き放題に食べていたのだ。
だから最初はつらかった。まずは12時間断食から始めた。これは比較的やりやすい。例えば夜7時に食べ終わって、次の日の朝7時まで食べることを我慢する。これならけっこう誰でもできると思う。
ここから、1ヶ月くらいかけてだんだんと12時間から16時間以上に延ばしていった。
そして、甘いものとパンを食べたくなったときは、ナッツやデーツや高カカオチョコレートなど認知症予防的に食べもよいとされているおやつを食べるようになった。
私は、甘いもの食べ放題の生活から、わりといきなり16時間断食&糖質制限生活に切り替えたので、体がびっくりしたのか、最初の10日くらい便秘になってしまった。
便秘のせいで最初の頃はむしろ体調が悪くなってしまったと感じた。そして便秘に耐えかねて、一度だけレストランでしっかり1人前の量のご飯がついた定食を食べた。だいたいそのあとくらいからだったと記憶している。
気がつくと体調がむちゃくちゃ良い
便秘はいつの間にか治っていた。
いったいなんのきっかけだったのかも覚えていないのだが、気がついたときには、「なんか私、体調良くない?」と思うようになっていた。
あんまり疲れないのである。森林整備ボランティアに行って帰ってきても、あまり疲れてない。今までは昼食後は耐え難い眠気がやってきていたけれど、そこまででもない。なんだか体が軽い。つい早歩きになってしまう。自転車を10キロこいでもけっこう平気。
体重は4キロ減った。
今日は家でパソコンに向かおうと椅子に座っても、なんだかむずむずして体を動かしたくてしょうがない。
この夏も暑かったし、9月に入ってもまだまだ暑いけど、夏バテのような症状も全く出ない。クーラーのある室内と外の暑さの気温差にだるくなってしまうなんてこともない。汗をかくのが気持ちいい。
便秘なんてあったっけくらい、毎日快便になった。
とにかく元気なので、「資格試験とか今から勉強してもいけんじゃね?」とか思うようになった。簿記2級くらいならいけるんじゃ…。
好きな物を食べる楽しみは人生の楽しみなのかどうか問題
とにかく認知症予防のためにやむにやまれず始めた、16時間断食&糖質制限&小麦除去。
これが本当に認知症予防になるのかどうか、もっと年を取ってみないと分からない。始める前は「これからはがまんの生活が始まる」と思っていた。
けれど想像もしなかった、まさかの、すっごく元気になっちゃった状態。
今でもクリームたっぷりあま〜いケーキや、ふんわりパンをたらふく食べたい気持ちにかられる。
断食を始めてから1ヶ月くらいしたある日、1度だけ、以前のようにたまたま家にあった豆せんべいを一袋全部食べてみた。(南部せんべいのようなちょっと甘めの小麦のせんべいである)
確かに美味しかった。そしてお腹がいっぱいになった。
でも、なんだか以前のような満腹による満足感はなかった。なんだか冷静な気持ちで、うっすら嫌な予感すらした。
このお腹にたまってるやつ、ちゃんと外に出るかな。体の中にしばらく留まられてまた以前のように体が重くなったら嫌だな。
みたいな気持ちになった。
好きな物を好きなだけ食べたいのだが、それによってこの体の軽さを失うかもしれないと思うと、簡単に以前の好物に手は伸ばせなくなった。
というわけで、リバウンドすることなく約3ヶ月たった今もこの生活を続けている。
人によっては、私のこんな生活は「人生の楽しみがなくなったみたいだね」なんて言われたりする。
気持ちは分かる。私も以前ならそう思っただろう。
しかし、好きな物を好きなだけ食べることは、本当に楽しいことなのか。
甘いものを食べて、お腹いっぱい美味しいものを食べて、ふんわりパンを食べて、幸せ〜って感じてるのってどこかというと、脳だよね、たぶん。
脳って、そこまで確かなものなのかなとも。だって、食べ物を消化したり、毒成分を解毒したりするのって、首から下の各臓器であって、脳って、それら各臓器の気持ちを代弁できてる?甚だ怪しい。
例えば私、朝起きたばかりが一番強い空腹を感じる。そのあと水やコーヒーを飲んでしのいで、そのうち空腹を忘れる。時間が経てば経つほど体のエネルギー源が減っていくのだからどんどん空腹を感じていくようなものだけど。
でも何か他のことをしているとすっかり空腹を忘れてしまって、いざ16時間後になっても、そのときはお腹があまり空いていない、なんてこともよくある。お腹すき過ぎて空腹を忘れるって、わりと誰でもそうなることありますよね。
脳みそのやってることもいい加減なもんである。
というわけで、甘い物やお腹いっぱいになるがっつりのお食事も、もしかしてそこまで人生に必要なものじゃないのではないかと思うようになった。脳みそ一人の思い込み?胃とか肝臓とか腎臓は、「はあ、食べ物消化しなくてよくてめっちゃ楽〜」とか思っているかもよ。
とはいえ、たまにはフレンチフルコースでパン食べ放題、食後にクリームたっぷりデザートを食べられるといいな〜と日々妄想しながら、16時間断食と糖質制限と小麦除去を続ける日々なのである。
(そんな妄想をしょっちゅうしてる時点であんまり健康的でない気もする)