個人でTNR 2年間の記録

TNRとは
Trap (トラップ) 捕獲する
Neuter(ニューター) 不妊手術をする
Return(リターン) 元の場所に戻す
野良猫、外猫を怪我をさせずに捕まえて不妊手術をして元の場所に戻すことです。外猫たちの望まない妊娠や繁殖を防ぎ、一代限りの猫たちを責任持って面倒みることにつなげることができるのです。

2020年3月くらいから半年強かけて、実家の庭に居着いた外猫たちのTNRを一人でやりました。何も分からなかった中、苦労してひとまずの結末を得た、そのときの体験を書きます。

目次

TNRを始めた理由

実家は市街化調整区域で、道路や隣家からは離れたところにあります。70代の両親は動物好きで、最初は立ち寄った外猫に餌をあげ始めたのだと思います。それから数年、居着いた猫は子どもを産んでどんどん増えて、餌や繁殖相手を求めて外からも猫がどんどん庭にやってきて居着くようになりました。

数年前から実家がそのような状況だと言うことは分かっていたのですが、気になりながらもしばらくは見ないふりをしていました。しかし、子猫を産んでも庭は安全に育てられる環境ではない。ある時、庭の端でカラスに襲われて死んでいる子猫を見てしまいました。

また、毎週実家にやってくるヤクルト販売の方がやはり猫好きで、その方が見るに見かねて生まれた子猫をできる限り引き取ってくれていたという状況を知っていたたまれなくなり、これ以上見てみぬふりはできないと、やむなく外猫を捕まえて手術をしてもらうため獣医さんに連れて行くことを決めました。2020年3月のことです。

情報収集

とは言え、それがとても大変なことだろうということは分かっていました。人に飼われたことがない猫を捕まえることは本当に大変だし、危ないこともあるということは、猫を飼ったことがある人なら分かると思います。

まずは、地元でわりと大きめの保護猫団体に電話して聞いてみました。正直あまり親切な対応ではなかったけれど、外猫を不妊去勢手術してくれる獣医さんの名前は教えてもらいました。

外猫の手術は、どこの獣医さんでもやってくれるものではないということをその時知りました。ペットにとっても手術は本来大事です。きちんと事前の診察をして、次回に手術の予約をして、と何度か獣医さんに通うのが本当は理想です。でも外猫は一度捕まえて逃してしまったら二度と捕まえることはできないと考えたほうがいい。一度きりのチャンスなのです。

外猫の手術をしてくれる獣医さんは、そのへんのことを充分理解して、捕まえたら捕獲器ごと預かってくれて、手術して翌日に捕獲器ごと返してくれるのです。お願いすると手術のついでにワクチンを打ってくれたりします。ペットならしないようなあらっぽい扱いだけど、外猫は仕方がないのです。

獣医さんのあてをつけたあとは、実家の庭にどれだけの猫がいるのか、性別はどちらなのか、餌を食べている猫たちの尻尾の下を確認するため、庭に這いつくばって少し離れたところから覗き込んでメモを取りました。それが以下です。

・アメショーっぽいトラ(オス)・黄色(オス)・サビ(メス)・シャム(オス)・三毛(メス)・白(メス)・ドラ(オス)・三毛(メス)・ドラ(オス)・黒ボス(メス)・元祖黄色ちゃん(オス)・白地にグレーのトラ(メス)……

模様の特徴、醸し出す雰囲気の特徴などを混ぜながら苦心して書きました。色々調べるうちに猫の模様にも名前があることを知りました。「アメショーっぽいトラ」「白地にグレーのトラ」と書いているのは、サバトラといい、「黄色」とは「茶白」という模様だと後に知りました。

初めて猫を捕まえたときのこと

初めて捕獲器を使って猫を捕まえたときは、怖くてかわいそうでトラウマになるかと思いました。パニックになって捕獲器の中で暴れまわる猫を翌日獣医さんに連れて行くまで家に置いておかなければならないのは、かわいそうで仕方なかったです。でも毛布などを捕獲器に被せて暗くすれば落ち着くと獣医さんに教えてもらいました。

捕獲器はネットで買いました。

最初は1台買ったのですが、たくさんいるので全然進まない!とじれったくなり、結局7台買いました汗。買ったお店も、この人何だ?と思ったかも。

親切な保護猫団体さんに出会い、たくさん助けてもらった

捕まえていく途中で、手術が間に合わず子猫が生まれてしまいました。子猫がどんなふうに人間の前に現れるかもその時知りました。

おそらく猫は4月くらいに子どもを産んでいるのですが、母猫はどこかに子猫を隠しています。私達の前に現れるのは、6月くらい。まだ小さいですが、ひとまず走れて少ししっかりしてから私達はやっと子猫が生まれてしまったことを知るのです。それを知った時の絶望と言ったら…。ちなみに猫の繁殖期は春と秋の2回で、秋にも同じようなことが起こり得ます。

その頃運のいいことに、最初に電話したところとは違う、できたばかりの保護猫団体さんに偶然出会い、その団体さんがすごく親切で、子猫を全部で7匹引き取ってくれました。写真の子猫は生まれた子たちの中で一番人懐こかった子です。保護猫団体さんにお願いしたあと、わりとすぐに里親さんにもらわれていきました。ミシェル(子猫の名前)、かわいかったなあ…。

その保護猫団体さんには、TNRのこともたくさん教えてもらいました。やっと猫を捕まえたのに獣医さんが休診の日で、別の獣医さんを教えてもらって、少し遠い市まで車で捕獲器ごと猫を連れて行ったこともありました。

保護猫団体さんに出会ったあとは、本当に救われた思いでした。一人で猫を捕まえるのはとても孤独です。パニックを起こす猫を見るのはつらいものです。まあ猫が一番つらいのだけど。保護猫団体さんにTNRがんばってるね、とねぎらってもらい、わからないことはその都度LINEで質問して、教えてもらったことは本当に感謝しています。何より、子猫を7匹も引き取ってもらって、感謝の気持ちでいっぱいです。

最後の猫を捕まえて、とりあえずの一段落

捕獲器では捕まえられない猫のために考えた、キャリーの罠

捕獲器で捕まえた猫は最初はかわいそうだったけれど、獣医さんに手術してもらって、翌日庭に放して、その後もちゃんと普通に生きて餌をもらっているのを見て、私もすぐに慣れました。

けれど、捕獲器も最初は入れ喰い状態でしたが、10匹も超えると、どうしても捕まらない猫が残ってきます。一度手術した子でも、ぼーっとした子はまた捕まってしまったりするのですが(そんなときは目当ての猫じゃないことにがっかりしながらすぐ放します)、慎重な猫、特にメスは絶対に捕獲器に入らない子もいます。

悩んで、ネットでいろいろ見て、考えだしたのが写真の罠です。上のフタが閉まるタイプのキャリーのフタにタコ糸をくくりつけ、タコ糸の先で私は待機します。キャリーの中には粉末のマタタビを入れます。そうすると猫が争って中に入ろうとします。キャリーはちょうど一匹しか入れないサイズです。夢中になった猫は一匹一匹キャリーの中でマタタビをなめるのですが、目的の未手術の猫がしっかりとキャリーの中に入るのを慎重に待つのです。

そして、意中の猫が入った瞬間、タコ糸をさっと引いて、上のフタがバタン!としまり、捕まえた!…そのまま獣医さんに連れていきます。

この方法で2匹捕まえました。

その他、こんな網も試してみました。

でもこの網はあまりうまく使えませんでした。部屋の中など比較的狭い空間なら役に立つのかもしれませんが、外で網を振っても猫のすばしこさに全く追いつけませんでした。ただ、寝込みを襲って、子猫を一匹だけこの網で捕まえました。

最後の大人の猫は同じ年の7月に捕まえました。ここまでで15匹、捕まえて手術してもらって、放しました。

その後2ヶ月かけて、生まれてしまった子猫を捕まえて、保護猫団体さんに引き取ってもらい、2020年9月、ひとまずの自力のTNR終了です。本当にほっとしました。

その後、2回の春を迎えて

最後の大人の猫を捕まえてから、2回の繁殖期である春を迎えました。その間の2年間は、新参猫を数匹捕まえて獣医さんに連れていきました。子猫はなんとか生まれずにすんでいますが、今年の春も子猫が生まれずにすむのかは微妙なところです。

もし私が外猫の面倒を見るなら、目の前でご飯をあげて、食べたらすぐ片付ける、というふうにして新しい猫が来てしまうのを防ぐでしょう。しかし、高齢で足の悪い両親にはどうしてもそのへんを分かってもらうことができず、また理解できたとしても体力的にそうすることができず、餌を外に置きっぱなしの時間が長いです。そうすると、どうしても新しい猫が来てしまうのです。

今年も6月頃、子猫が庭にいるのを発見してしまうかもしれません。絶望するでしょうが、もう、2年前子猫を引き取ってくれた保護猫団体にはお願いはしないつもりです。

2年前引き取ってもらった7匹の子猫のうち、5匹はその後里親さんが見つかりましたが、2匹は今も保護猫団体さんのところにいます。もう大きくなってしまって、保護猫団体には申し訳ない気持ちでいっぱいです。

インスタで見ると、その保護猫団体さんのところには常に限界ギリギリの数の猫たちがいて、もうこれ以上お願いするのは申し訳無さ過ぎる、と思うのです。

また、猫には縄張りがあるようで、まだまだ元気そうな猫が突然いなくなる、ということをこの2年間何度も見ました。かわいそうではあるのですが、子猫が生まれても全部がそのまま実家の庭に居続ける、ということはないような気がします。

なので、もし生まれてしまったら、また一生懸命その子達をTNRをして、そのままいる限りは庭で他の猫と一緒に親に面倒を見てもらうつもりです。

ちなみに、7台買った捕獲器のうち2台は残して、5台は保護猫団体さんに寄付しました。

個人でTNRをする方へ

私の場合は、元はと言えば親が悪いだろってことで、手術の費用などは全部親に出させました。

でも、苦労する上に出費は少なくないので大変です。

地域猫の手術費用は、個人でも手続きすれば補助が出ることもあるようです。

こちらの団体は、先述の保護猫団体さんに教えてもらいました。

保護猫団体さんによっては、TNRをお願いすることもできるようです。でも保護猫団体さんもいろいろで、私が出会った団体さんのように親切なところもあれば、冷たかったりいい加減だったりするところもあるようで、ただでさえ孤独なのに嫌な思いをするとやりきれませんよね。でも、まずは相談してみるとよいと思います。

猫がなかなか捕まらなかったときは、早くしないとまた子猫がうまれてしまう!とやきもきしましたが、ひとまずのTNR終了までこぎつけたときは心から安堵しました。

今では、冬の寒さ対策で発泡スチロールの箱を置いたりして、そんなに風邪も引かなくなって、新しい猫が来る可能性はあるとはいえ、ほとんどの猫は手術済なので、みんなのんびりしていて、庭の外猫たちのいる風景も以前に比べてだいぶ穏やかになりました。

私のやり方は、けっしておすすめできるものではありませんが、もし個人的にTNRに関わることがある方に少しでも参考になれば幸いです。

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