数年前中国語医療通訳教養講座というのを学んだことがある。一度大手の通訳学校でお試し的なものを受講したときに、先生が情報を教えてくれて個人的にやっているところを紹介してくれて、通訳学校よりも破格に安い金額で受講できたので、お得!!と申し込んだのである。
講義内容
免疫系・画像検査・検査項目
骨格系・産婦人科・小児科・血液分野
日本の医療制度
耳鼻咽喉科・皮膚科・眼科・歯科
医学・医療の基礎知識(総論・呼吸器系・循環器系・脳神経系・新生物学)
消化器・泌尿器・男性生殖器
薬学知識
がん治療・内分泌系
看護知識及び実態
これらを1回5時間、計10回に分けて聞いた。うーん、今振り返ってみるとなかなかのボリューム。やはりお得だった。
先生は、日本で働いている中国人の看護師さん数人が数回分ずつ講義してくれた。薬剤師の方と医師の方も1回ずつ講義してくれたがその方々は日本人。生徒は私以外は全員中国人。講義の使用言語は、中国語?と思いきや、日本語9割、中国語1割くらいだった。中国人の先生も私以外の生徒も、日本語に何の問題もないハイレベル日本語話者だったので。
日本人医師の講義は、日本人の私には超面白かったのだが、若干くぐもった日本語を話されていたので、中国人生徒の皆さんには聞き取りずらかったらしく、「全然分からなかった」とみんなぼやいていたのが、わずかの話し方の違いがこんなにも母語ではない人たちにとっては聞き取りづらくなるんだな〜と興味深かった。
よかったこと

高校レベルくらいの生物を学ぶような感じだったのかな〜。体の部位の名前や、循環器系や消化器系など、体の機能のグループごとの説明、病気の名前やなぜ起こるのか、などなど全般的なことを、中国語と日本語で学ぶという、なかなかレアな経験ができて、面白かった。
特に、糖尿病と自己免疫疾患の説明は面白かった。
糖尿病は膵臓から出されるホルモンのインスリンの量が低下するあるいはインスリンが効かなくなる、ということによって血液が高血糖になり、血管、特に毛細血管が痛み、それで毛細血管がある部位、目、手足、腎臓などがダメージを受ける、という病気だと言うことを知った。糖尿病はとてもおそろしい病気なんだよ、と先生は言っていた。最後は「干巴巴」になると。「干巴巴」は中国語だが、日本語の意味はここでは「骨と皮だけ」みたいな意味。
それから、自己免疫疾患は自分の免疫が自分を攻撃してしまう病気なので、すごく治りにくい。先生は「顽固」と言っていた。日本語でも頑固という意味です。
脳の仕組みは複雑過ぎて分からん、ということも分かった。
で、医療通訳試験の結果
一応、受講が終わってから医療通訳試験を他の生徒のみなさんと受けてきました。結果はですね〜。1次の筆記は受かったのだが、2次の面接で落ちた。次の年もチャレンジすればよいものを、「まあ受かっても怖くて通訳できんな〜。そもそも圧倒的に語学力が足りなくて採用もされないだろうし」ということで受けるのをやめてしまった。我ながら根性ないな〜。
しかし、今でもこの講義を受講できて本当によかったなと思っている。レベルとしてはすごく低くても、全般的な医療の知識があると、日常生活で役に立つことがすごく多い。学んだことの細かいことのほとんどは忘れてしまったけれど、確実に自分に結実化したものがあるな、と感じている。
最近は親の病院に付き添うことが多いのだが、医師の話が分かるような気がする。医師が治療として何をしようとしているのか、なぜその薬を処方するのか、大きな目的のようなものがあるのが分かるので、質問なども最小限ですむような気がする。
ま、思い込みかもしれないけれど。
一家に一台、医療知識ですね〜。高校の生物を真面目に受けていればいらないかもですが。